脳の誤作動記憶を調節する心身医療 心と脳と身体との関係性 -心身条件反射療法協会のサイトー

  脳に学習された誤作動記憶を調整する心身相関統合療法

 心身条件反射療法
(ニューロパターンセラピー)

Psychosomatic Conditioned Reflex Therapy

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患者さんとのラポール構築

Tsuchikoカイロプラクティックオフィス
院長 土子 勝成                                                                                         2010.2.11 

●きっかけ
35歳女性、全身の疲労感と肩こりを訴えていました。ストレスが体に影響することを説明し、ニューロ・パターン・セラピー(心身条件反射療法)を行いました。治療後に変化がなかったにも関わらず継続していますと、3回目の治療で女性から「この治療法をやめてほしい」との訴えがありニューロ・パターン・セラピーを継続することが出来なくなりました。また、43歳女性、頚部痛と頭痛を訴える方の場合ですが、友人とのストレスを聞いたところ、そのことを思い出したくないと言われニューロ・パターン・セラピーを行うことができませんでした。また、56歳男性、腰痛と下肢の痺れがあり、椎間板ヘルニアの診断受けていました。腰痛や痺れをイメージしてもらい、切り替えを行っても症状の変化は全くありませんでした。その後、数回の治療でも変化はなく来院を断念されました。これらの経験を自分なりに分析してみました。最初の35歳女性は、ストレスは誰にでもあり、仕事をすれば疲労するからパチパチして欲しいとの訴えでしたので、ストレスを切り替えることが症状の改善につながることの説明が不足していたのではないかと考えました。次の43歳女性の場合は、治療の主旨が全く伝わっていなかったと思われます。最後の56歳男性の場合は、イメージされているときも顔は乗り気ではなく、不信感を抱きながら行っていたように見受けられました。これらのことから、治療効果がだせなかったのは、最初の段階に行うべき患者さんとのラポールの構築が十分ではなかったことが大きな原因であると考え、ラポール構築について考察を行うことにしました。
今回のレポートでは、ラポールの構築をはじめ、治療を進めていく上で自分が大切だと考えた要素について述べます。

 

●最初に【ラポールの定義】について
心理学では、人と人との間がなごやかな心の通い合った状態であること、親密な信頼関係にあること、また、心理療法や調査・検査などで、面接者と被面接者との関係と書かれています。
ラポール( rapport )とはもともと臨床心理学の用語で、セラピストとクライエントとの間の心的状態を表します。
始まりは、オーストリアの精神科医フランツ・アントン・メスメルが「動物磁気」に感応したクライエントとの間に生じた関係を表現するために用いた言葉です。その後、セラピストとクライエントの間に、相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり、感情の交流を行える関係が成立している状態を表す語として用いられるようになりました。
カウンセリングや心理療法など、どのような治療であっても、ラポールは共通した基本的な前提条件として重視されています。
 

 

●ラポール【構築】のためのテクニック
どのような仕事でもラポールは重要ですが、ニューロ・パターン・セラピー(心身条件反射療法)においては、これをなくしては治療に入ることすら出来ません。私自身この療法に慣れない時は、患者さんとのラポールのためにマッサージを行ったこともあります。しかし、学んでいく中でラポール構築には、まずは十分な説明が必要ではないかと考えました。「どうして私はイメージしなければならないのか?」という患者さんの疑問を、「治療のために一生懸命考えよう!イメージしよう!」といった思考に変化させるには納得できる説明が必要であり、また、納得させるだけの説明力が必要なのです。

こんな言葉があります。
人は理解しても動きません。だから「理動」という言葉はないのです。人を動かしたかったら「感動」させれば良いのです。

【ラポール構築に必要なテクニック】

1.状態の把握
今回、コミュニケーション心理学(NLP)の手法を参考にしています。ラポール構築において、まず始めにしなければならないことは、現在の状態を良く把握することです。これは、患者・施術者お互いの現在の状態です。通常患者さんの状態を探ろうとしますが、それに加え、現在の施術者の状態の客観的把握が重要なのです。施術者も人間です。もし自分の状態が落ち込んでいたり、疲れていた場合に、その要素を無視して、治療に入ると、同じ言葉や表現を自分の感情に流され、違った形で捉えてしまう事になります。そうすると、患者の意図することが最初からずれてしまい、後々の治療が大きくずれた形となってしまいます。したがって、患者の状態を探ると同時に、自分の状態を客観的にとらえ理解することがラポール構築のファーストステップとなるのです。

2. 信頼関係構築のための手法
次に、信頼関係構築において重要な手法について述べます。
・    ペーシング
・    ストーリーテーリング
a.ペーシング
ペーシングとは、相手に合わせることをいいます。これは信頼関係構築の重要な要素のひとつです。人の特性として「自分と類似するものに親和性を覚える」ということがあります。この特性を生かし、まずは相手とペースを合わせることから信頼関係構築を始めます。合わせる要素としましては以下のような項目が挙げられます。
・    声
・    身体の動き
・    呼吸
・    考え方、価値観
・    感情(喜怒哀楽)
まず声ですが、大きさと速さの要素があります。スピーディーに話す相手に対して、ゆっくり対応していては相手がイライラして会話が合いません。相手と同じようにスピーディーに話すことが重要です。したがって、ゆっくりにはゆっくりと、ヤクザのような口調にはあるレベルでヤクザの口調にしなければいけません。声の大きさも同じです。次に身体の動きですが、こちらを見ない人であれば、こちら側もあまり凝視しないことや、動きのリズムなどを合わせます。呼吸も会話を始める前から合わせることが重要です。そして考え方、価値観ですが、これは非常に重要です。相手と価値観が違うと、心は離れていきます。野球の好きな人には、それなりに野球の話をします。臨床では患者さんのストレスに対して切り替えを行うことが目的です。この時、そのストレスに対して同じように共感することが重要となります。このあたりは非常に怠ってしまう部分です。早く切り変えたいとか、答えを急ぐこちら側の思考が、結果ラポールを切ってしまうこととなってしまいます。最後に感情(喜怒哀楽)ですが、笑いながら来ている人には、笑いながら出来るので、割りと簡単ですが、反対に落ち込んでいる人に落ち込んだ態度ではできないので、相手の感情を邪魔しないことが大事となります。つまり、ペースを合わせるということは、全く同じ状態にすることではなく、相手のペースを邪魔しないということが大きなポイントなのです。相手を包み込めるだけの包容力を施術者は磨いていかなければいけないのです。

b.ストーリーテーリング
次にストーリーテーリングですが、これは「物語を語る」ということです。人は物語を聞いているとき、潜在意識に働きかけながら聞いています。つまり、物語だけをただ聞いているのだけではなく、感情移入し、主人公を自分と照らし合わせて自問自答しているのです。そのためストーリーテーリングを行うと潜在意識に入りやすくなります。この時のストーリーの構成ですが、旅立ち(決断)→試練(行動)→帰還(結末)です。この流れは、映画や小説などでも同じで、主人公の決断から旅立ち、試練や行動によって成長し、成功してチャンスをつかんだというストーリーが人々に共感される展開です。痛みを目の前にして、普段の生活や人間関係などを考えることは患者にとっては無意味なことに思えたり、治療と結びつかないのが正直なところです。治療に向かわせるための方法としてストーリーテーリングを用います。ストーリーテーリングを行ううえで重要になるキーワードがあります。それをアンカリング(心に響く言葉)と言います。
アンカリングとして以下のことが挙げられます。
・    話しの目的は明確にする
・    相手にとって役立つストーリー展開にする
・    ポジティブメッセージを入れる

アンカリングを意識して、患者の状態に応じたストーリーテーリングを行います。患者は現状の痛みなどの症状に固執しています。治して欲しいという依存度が高く、自分の疾患をきちんと把握しようとしていません。ストーリーテーリングを行うことにより、自らが治療に参加する意識が芽生え、また、良くなることへの喜びが生まれるのです。まさに、ラポールの構築です。施術者側と患者側が協力しあって、同じ治癒という目標に向かっていけるのです。

3.ゴール設定の重要性
人間の潜在意識(メンタル)は、目標設定が明確でないとマイナスに働く要素があります。例えば、目の前に試験があるとします。何のためにこの試験を受けるのか分からない場合、試験監督の歩く音が気になったり、隣の人のしぐさが気になったりと、試験以外のことに集中力を発揮します。人によっては、後ろの方でささやく声まではっきりと聞き取れるかも知れません。驚異的な集中力です。もちろん試験には落ちます。これは潜在意識のマイナスに働くシステムが作動していることになります。この状態は患者さんの治療においても起こります。患者さんがはっきりとした治癒のゴールをもっていないと、思考はマイナスに働きます。治療の途中で、治らないのではとか、別に治療法はないのかなどと考えてしまいます。したがって治療に集中させ、あきらめずに治療を継続させるためには目標設定をすることが重要なのです。患者さんの目標を明確にすることは、同時に治療者側の目標設定も明確にするということです。ゴールをしっかりと設定すれば、そこに進むために今何をしなければならないかが分かるのです。潜在意識は自分では上手くコントロールできません。だからこそ、潜在意識の特性を理解し、その働きを有効に活用しなければなりません。ゴール設定は人間の行動開始の第一歩です。ゴールが決まれば、治療ひとつひとつの意味づけが出来、治療の内容も理解し、積極的な治療参加が得られるのです。腰痛改善や痛みの消失、再発の防止を具体的に目標設定すると、再発を防止するためには、痛みを記憶していることを理解し、または、筋力検査や下肢長検査にてイメージ反応により現れる筋力低下や下肢長の変化を確認でき、イメージが潜在意識に影響することがわかり、イメージすることへの集中力をアップさせることが出来ます。

●ラポール構築のまとめ
ラポール構築には、いろいろな要素に気を配らなければなりません。しかし、それには数多くの手法が存在します。その手法は、人生経験、治療経験によって深められるものであると感じました。自分の引き出しを多く持つことが、ラポール構築への最も近道でないかと考えます。ラポール構築が達成できれば、その後の治療の成果に大きな差が出ます。ラポールが構築されていれば、症状改善、解決に向け最短ルートで進むことが出来ます。自分の目標が患者の治癒であれば、ますはラポール構築が始めの一歩であることを再認識しました。

●次に、患者さん切り変えに関わる脳の記憶について考察します。

【記憶に関わる感情】
感心する、感動するなどの感情が動いたときに脳の記憶システムは働きます。刺激となるのは強い印象で、笑う、泣く、怒る、ビックリすることを伴うものです。これらは自分の思考のループと違った考え方を提示されたり、納得したときによく起こります。したがって脳の記憶システムを作動させるには、相手の感情を動かすことが必要なのです。

【記憶で大切なことは開脳】
また、記憶で大切なことは(開脳)させることです。(この開脳(かいのう)とは、アクティブラーニングの羽根拓也さんの言葉を引用しています)
脳の神経細胞間では、神経伝達物質を放出・吸収して情報をやり取りしています。この時、より多くの神経伝達物質がシャワー状に放出される状態を、「開脳」と呼んでいます。例えば事故に遭った時、脳はものすごく開脳するのです。そのため事故の現場をスローモーションのように記憶しています。これは命に関わる危機ですから生命維持のために脳はフルスピードで活動します。その結果、鮮明な記憶が作られたわけです。そして、このときに味わった痛みなども記憶し、もう二度とこのような経験をしないようにするのです。
痛みの治療としては、記憶した痛みを書き換えなければなりません。そのためには「開脳」させなければなりません。このときに重要となるのが、感情を動かすということです。
例えば、治療中に患者さんに笑いが起これば成立します。または、突拍子もないことを言ってみる(限度はあります)のもひとつの方法です。このようにして患者さんを開脳させるのは重要なことです。
いままで、私が行って有効だった開脳の方法を挙げてみます。
例)
・    症状の矛盾を指摘することで、患者さんはおどろき、納得や感心をする。
・    いつまで生きますか?など突拍子もないことを言うことで、感情を動かす。
・    痛みがある時と、ないときがあるのはおかしくないですか?(変形疾患など)との質問で、患者さんの疑問を掘り起こす。
・    最近の楽しいことをイメージできない方に、寂しい人生ですね(棘のない言い方)などと言って笑いを誘う。

<記憶のまとめ>
記憶のメカニズムにはまだまだ、未知のことが多くあります。しかし、感情と記憶は密接に関係しています。今、痛みと記憶が関連付けられつつあります。痛みと記憶に関係があるのであれば、感情と痛みも関連付けられて当然と考えられます。我々が行っている切り変えとは、感情を変化させることであり、感情の変化により開脳が起こり、正しい記憶(よい記憶)として脳内にとどめられ治療効果が発揮されるのだと考えられます。

●では次に、感情が一方向にしか動かないケースに対する対策を考えます。

【記憶やトラウマをイメージする際には、五感を使用しない方が良い】
記憶やトラウマ、それ以外にも許せない、腹が立つなど感情移入し、感情が一方向にしか動かないケースについて考えてみます。このようなケースでは、第三者的な立場にたってもらう方法が記憶の上書きに効果的だと考えます。そして、反対に良いイメージやリラックスパーターンへの切り替え時には、五感をフルに活用して感じていただくことが効果的です。
イメージ力には二つの種類があり、経験していないことをまるで経験したかのように思い浮かべる「五感」と、経験したことを経験していないかのように振り返る「客観」があります。ミスをすると、痛手が心に残ります。これを放っておくと、五感が野放しになって、何度も心の中で手痛い経験がリプレイされてしまいます。後悔、自己嫌悪、恥ずかしい気持ち。まさに「失敗後の落ち込みから気持ちを切り替えられない」状態です。客観イメージ法は、そんな痛みを消すテクニックと言えます。事実を忘れ去る、ということではありません。いやな記憶を客観的に描けば、事実は事実として思い出しても、その痛みはリプレイされることはないのです。
では、どのようにして、客観的になるのでしょうか。そこで行うことが、漫画チックに描いたり、テレビの映像を見ている状態をとります。この手法を用いると、意外と感情移入せずに客観的にイメージすることが出来ます。
逆に、リラックスパターンや成功イメージへの変更は大いに五感を駆使して想像してもらいます。そのときの達成感や充実感はもちろん、細かなシチュエーションまで思い描くと良いでしょう。つまり、よいイメージを体全体、五感で感じてもらうのです。このように客観と五感を使い分けることが重要なのです。それにより、感情をどちらにも動かすことが出来るのです。

●次に、切り変え後の再発防止のための定着について考えてみました。

【記憶の技術「IMR」】
input 入れて
mix 混ぜて
recall 思い出す

記憶には初期の保存として一次記憶というものがあります。PCRTで行っている緊張パターンをリラックスパターンに切り替えるのは一次記憶です。脳の深い記憶に入れるには、この一次記憶だけではダメです。なぜならすぐに忘れてしまうからです。脳の中で定着することが再発防止となります。この記憶を定着させるためにはプロセスがあります。それが「IMR」です。最初に、情報をinput(入れて)して、他の事をしますmix(混ぜて)。再度recall(思い出す)思い出す作業をすることにより脳内で定着します。このことによって記憶は強化されます。
そのため患者さんに緊張パターンとリラックスパターンを明日、あさって、もしくは再来院時に行うことで、脳に定着させ、症状改善を強めます。
例え話で、「スキーは夏に上手くなる」と言う話があります。スキーを集中してやると、脳内ではその情報だけになってそれ以上技術が伸びなくなるのです。つまり脳のネットワークが同じ方向からの刺激になってしまうからです。シーズンが終わりいったん中断すると、他の刺激が入り、脳がネットワーク化を始めます。そして冬にまたスキーをはじめると思い出しを行い「前より上達した」と言う感覚が起こるのだそうです。つまり「IMR」を行ったことになります。間に違うことを混ぜてやったほうが記憶効果につながるそうです。私たちの生活でも、忘れていたことを思い出したときは以前より記憶が鮮明に焼き付けられることを感じると思います。このことから患者さんの自己学習や、再来院までの時間、そしてなにより再来院時の再チェック(反復)は「IMR」パターンの実行であり、脳の定着を強化し、症状改善に効果的なのです。


【今後の活動】
今後は痛みと記憶、さらに感情との関係をもっと明確なものにしたいと考えています。更にエネルギーやエネルギーブロックも含め、より分かりやすく患者に説明できるようにならなければと思っています。そのための手法などを創り出したいと思います。今回、ラポールの重要性を述べさせていただきましたが、患者によってはラポールが築けない状況があるのが現実です。今後はラポール構築が出来ていない状況でも治療が成立する方法なども模索したいと考えます。治療技術の習得とともに、その他に、心理学、NLP、催眠療法など精神面を扱った分野や、エネルギーを扱った分野なども積極的に勉強していきたいと思っております。
今回は、このような課題を経験することにより、自分の中の弱い部分が認識でき、課題を見つけることが出来ました。また、更に伸ばして行きたい分野も発見することが出来、とても有意義な時間をすごすことができました。

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