脳の誤作動記憶を調節する心身医療 心と脳と身体との関係性 -心身条件反射療法協会のサイトー

  脳に学習された誤作動記憶を調整する心身相関統合療法

 心身条件反射療法
(ニューロパターンセラピー)

Psychosomatic Conditioned Reflex Therapy

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野球選手の投球恐怖症

報告者 : 山中 英司 B.C.Sc (陽開カイロプラクティック)                            2010.5.15

【患者

大学生、右投げピッチャー
【主訴と病歴】左足を負傷してから徐々に投球恐怖症に陥ったケース。
左足の母指を骨折してから、しばらくリハビリをしながらの投球をしていた。その後、母指の骨折は、順調に回復したが、投球時にボールがすっぽ抜けるようになる。そのため抜けないように腕に力が入り、今度は引っ掛けてしまうようになり、それが怖くて投げることがうまくできなくなった。 
投球する動作は腕が硬直して一度止まってしまう状態。実際に投げると、数回に1回は抜けるか引っ掛けてしまう。
【検査と治療】

〈初診〉
骨折をした母指を含む、投球に関わる部位の触診や筋力検査、理学検査では、特に異常なし。片足ずつで立つバランス検査では、左足では明らかな不安定さが確認された。
アクティベータ療法にて神経機能障害を検査・施術。左足首周辺、骨盤、頚胸移行部に障害がみられた。術後のバランス検査は、左右差はほとんどなくなった。
投球動作での腕の硬直は、多少改善された感覚はするがまだ残っていると訴えたため、心身条件反射療法(以下:PCRT)による条件付けされた記憶を検査・施術。
検査で陽性反応は2つ。骨折当時のリハビリで行っていた先行き不安を伴う投球動作。2つ目は、投球が不安定になったことによる投球への恐怖感。術後、スムーズな腕の振りが戻る。

 

〈二回目〉
数日後に来院。調子を伺うと、ほぼ以前と同じように緊張がなく投げられるように回復している様子。
一通り検査。眼を閉じて、左右それぞれで片足立ちを確認すると、まだ左足での安定は不十分な状態が残っている。
前回同様、アクティベータ療法で検査・施術。左足首周辺の神経機能障害はまだあったが、それ以外は正常に回復していた。
続いてPCRTにて、前回、陽性反応だった緊張パターンを再検査。投球への恐怖感による条件反射が残っていたため、再度切り替える施術を行った。
施術後、バランス検査は左右差なし。投球動作も異常なし。主観的、客観的にみて改善。


〈その後〉
数週間後、本人からメールで連絡を頂き、施術以来不安なく、以前のように良いフォームで投げられるようになったとの報告を頂いた。

【考察とまとめ】骨折という構造異常が生じたとき、機能異常も同時に生じる。通常ながら、構造異常が回復する過程で、機能異常もある程度改善。適切なリハビリを行うことで機能異常も改善される。閉じた系で考えれば単純である。実際は閉じた系で人間は存在していない。外界との関係性の中、さまざまな情報処理を行っている。その結果を「思い」や「感情」として、人は認知している。今回のケースは、骨折後の機能異常が充分に回復していない中、心理的要素が加わることで条件付けされ、機能異常の遅延が生じた。そして、リハビリにより身体に間違った使い方を学習させて投球が不安定になったものと考えられる。その後、その不安定さが恐怖感となり身体を硬直させ、さらに条件付けを強化。負の循環に陥り、症状を増悪させたと考えられる。
一般的に投球恐怖症は治りづらいと言われている。身体機能だけにアプローチしても、またカウンセリングなど心理面にだけアプローチしても、うまくいかないケースが多い。なぜならば、心身の関係性を捉え、その負の循環の本質的原因を掘り下げる術がないためだと考えられる。
PCRTは、負の循環をしっかり見極め本質的原因を改善させるのにとても適した療法であり、投球恐怖症などの心身が複雑に関連する症状に対する貢献度はとても高いと感じる。