PCRT症例報告 標準フォーマット・作成ガイド
PCRT CLINICAL NOTES / REPORT FORMAT GUIDE
PCRT症例報告 標準フォーマット・作成ガイド
— 受講者提出用/PCRT臨床ノート掲載基準に準拠した規定書式
日々のカルテに残した数値・検査所見・調整プロセスを、この順序に沿って整理すれば、そのまま査読・掲載(PCRT臨床ノート)や認定用の報告に接続できます。 構成はWordテンプレートと完全に一致しています。
発行: Life Compass Academy(LCA) | 監修: 保井 志之(PCRT創始者・編集長) | 全8症状タイプ対応
書式ファイルのダウンロードと提出方法は別ページにまとめています。
テンプレート(空欄)・タイプ別の記入見本・完成見本・カルテ様式がダウンロードできます。
Aこのガイドの目的
本書は、PCRTセミナー受講者が臨床の記録を一定の様式で症例報告にまとめ、提出・掲載につなげるための規定書式です。 書式を統一する狙いは、体裁を整えることではなく、症例どうしを比較でき、PCRTの臨床思考が読み手に伝わる報告を、誰が書いても再現できるようにすることにあります。
誰が書くか
PCRTセミナー受講者・PCRT認定を目指す施術者・PCRT認定施術者。自院の実際の症例を匿名化して報告します。
何に使うか
PCRT認定者条件を満たすための症例報告、PCRT臨床ノート掲載のための精査・承認、院内・研究会での症例共有。
査読の姿勢
「弾く」ためではなく、修正・掲載に向けた発達的・支援的サポート。書式が揃うほど的確な助言が届きます。
B対象となる症状タイプ(8分類)
PCRT症例報告は症状の幅が広く、以下の8タイプを対象とします。どのタイプでも構成(C章)とスケール(D章)は共通です。 異なるのは「検査で何を診るか」「どの誤作動記憶を辿るか」という着眼点だけ。各タイプに、報告で特に押さえたい視点を添えました。
筋骨格系症状
目安検査・ハード面調整(AM等)の所見を明記。構造だけでなく、症状が戻る背景の誤作動記憶(機能)まで辿る。
自律神経系症状 本ガイドの例
パニック症状・発汗・動悸・息切れ・消化器症状・予期不安など。物理トリガーと心理社会的トリガーを弁別し、情報系EB(場面イメージ)の収束を追う。
めまい症状
前庭系・小脳系・頸部の身体系EBに加え、転倒・不安・恐怖に関わる誤作動記憶。予期不安のスケール化が有効。
メンタル系症状
不安・パニック・抑うつ等。反応言語の深層移動を丁寧に記録。予期不安スケールの併記を推奨。
アレルギー症状
アレルゲンへの情報系EB。感作の場面・当時の情動記憶を辿り、過剰反応の前提を書き換える。
婦人科系の症状
月経・更年期・不妊関連等。身体系EBと役割・対人の誤作動記憶。開示配慮(F章の3層)を特に慎重に。
内臓機能系の症状
消化器・呼吸器等の機能的愁訴。内臓体壁反射などの身体系所見と情動・場面の誤作動を並行して診る。
イップス・ジストニア系
運動プログラムの誤作動。動作イメージEB・パフォーマンス場面が中心。AM等の併用所見も明記。
C報告の構成(Ⅰ〜Ⅳ)
報告は4部構成です。Wordテンプレートの見出しと完全に一致していますので、テンプレートを上から順に埋めれば、この構成になります。 Ⅱ. 通院経過がPCRT症例報告の中核です。
報告者情報+①〜⑧
①〜⑥を通院回数分
経過が示したことの解釈
引用がある場合のみ
報告者情報 必須
- 記載内容
- 氏名/所属院・所在地/臨床歴(開業歴)/報告日/保有資格(PCRT・AM認定など)
- ポイント
- 後で掲載可否や査読の連絡に用いるため、正確に。臨床歴は「臨床歴◯年(開業◯年)」の形が読み手に伝わりやすい。
① タイトル(症例テーマ) 必須
- 記載内容
- 症状+その症例の核心を表す一文。例:「経営者の多汗症 — プレゼンで額を伝う汗の奥にあった『緊張しなければ失礼だ』という誤作動記憶」
- ポイント
- 主訴(何が)と、辿り着いた核心(なぜ)が一目で伝わるように。 患者名は出さず、年齢帯・性別・職業程度の匿名化に留める。
② 症例要約 必須
- 記載内容
- 結果(例:ほぼ完治 NRS 10→2)/治療期間・通院回数/主な調整法/経過の要点/ 転機(ターニングポイント)
- ポイント
- 本文を読まなくても全体像が掴める「要約」に徹する。反応言語の変遷を一行で示せると全体の見取り図になる。学術論文の抄録にあたる位置づけのため、③はじめにより前に置く。
③ はじめに 必須
- 記載内容
- この症例を取り上げる理由(何を確かめたかったか/どこが臨床的に興味深いか)。 2〜4行程度。学術的な背景がある場合はここで簡潔に触れる。
- ポイント
- 患者像や結果は②症例要約・⑤患者情報に書くため、 ここでは繰り返さない。②が「何が起きたか」、③が「なぜ読む価値があるか」という別々の問いに答える。Ⅲ. 考察は、ここで立てた問いに答える形で書くと自然にまとまる。
④ 主訴・患者の愁訴 必須
- 記載内容
- 主訴(患者自身の言葉で)/副症状。初診時のNRS。
- ポイント
- 患者が途中で思い出したように訴える 副症状は、その回のメモとして都度記載する。主訴との関係も後で辿れるようにしておく。
⑤ 患者情報(匿名化) 必須
- 記載内容
- 年齢帯・性別・職業/患者の特徴(内省的、理想が高い等)/既往。
- ポイント
- 個人が特定される情報(氏名・詳細な地域・勤務先固有名等)は排除。F章の3層構造に基づき、 載せてよい情報だけを記す。
⑥ 発症からの経緯 必須
- 記載内容
- いつから/どんな場面で/どのように推移したか。誘因と考えられる出来事があれば。
- ポイント
- 「どの場面で症状が出るか」は、後にどの誤作動記憶を検査で辿るかの入口になる。場面(トリガー)を具体的に。
⑦ 評価スケールの定義とスケール表 必須
- 記載内容
- 全通院回のNRS・CGI-S・CGI-Iを一覧表に。(例:メンタル系では予期不安の行を追加)スケールの定義はD章を参照。
- ポイント
- Ⅱ. 通院経過の各回記録から数値を転記する。表と本文の数値は必ず一致させる。
⑧ 治療経過グラフ(回数毎の折れ線グラフ) 必須
- 記載内容
- NRS・CGI-S・CGI-Iの推移を折れ線で可視化。横軸=通院回(日付)、縦軸=スケール値。
- ポイント
- 主観(NRS)と臨床評価(CGI)が並走して改善している様子が一目で伝わる。CGI-Iは第2回以降からプロット。
各回に記載する6項目 必須 中核
- ① 患者のコメント
- その回の愁訴・変化を、できるだけ患者自身の言葉で。
- ② 数値化
- NRS・CGI-S・CGI-I(メンタル系等では予期不安も)。 術前値を記載する。
- ③ 目安検査
- 一般検査を含む。どの検査で何を検出したか。
- ④ EB検査
- 身体系/エネルギー系/情報系のどれで反応したか。 イメージ系(動作・場面のイメージ)は情報系に含まれるため、分類は3つ。
- ⑤ 調整法
- ハード面・ソフト面の両方。 ソフト面のプロセス記載は必須(E章)。ハード面調整法のみの症例では、ハード面の記載のみで可。
- ⑥ 特記すべきコメント
- その回の所見メモ・気づき・患者の反応。
数値の扱い
- 原則
- 報告には 術前値を記載する(術後値は臨床用カルテのみ)。毎回の術前値の推移で、症状が段階的に下がっているかを示す。
- ポイント
- ここがPCRT報告の心臓部。陽性→陰性の反応推移も記す。テンプレートのⅡ章ブロックを通院回数分だけ複製して使う。
考察 必須
- 記載内容
- 経過が示したこと/反応言語の変遷の意味/転換点の機序/ PCRTの治療哲学・概念(誤作動記憶・機能重視・肯定的意図など)がどう働いたか。改善しにくかった要因があれば、それも率直に。
- ポイント
- 合格条件②「PCRTの概念が反映されていること」はここで示される。断定を避け、検査所見に基づいて記述する。
参考文献 任意
- 記載内容
- 神経科学・心理学的な裏づけを引く場合の出典(予測処理・内受容予測・アロスタシス等)。
- ポイント
- 必須ではないが、機序の説明を補強したいときに。本文の該当箇所に 1) 2) の番号を入れ、末尾の一覧と対応させる。引用がなければ、この項目は削除して構わない。
D評価スケールの定義
| スケール | 範囲 | 評定タイミング | 何を測るか・評定の考え方 |
|---|---|---|---|
| NRS | 0–10 | 毎回 | 患者の主観的な症状の程度。0=症状なし、10=最悪。術前値を記載する。 |
| CGI-S 重症度 |
1–7 | 毎回 | 臨床全般重症度。1=正常〜7=最重度。毎回評定する(従来の「初診時のみ」の扱いから変更した点)。 |
| CGI-I 改善度 |
1–7 | 第2回以降 | 臨床全般改善度。1=著明改善〜4=不変〜7=著明悪化。NRS(患者の主観)とPRT検査結果を複合して評定する。初診時は基準点のため付さない。 |
| 予期不安 推奨・任意 |
0–10 | 毎回 | メンタル系・パニック既往例で推奨。身体症状とは独立に不安を追うことで、両者の連動が可視化される。 |
EPCRT調整プロセスの記載要件
合格条件③④の核心です。ハード面はどのテクニックを併用してもよいが検査所見の明記が必須、ソフト面はプロセスの記載そのものが必須です。 いずれもⅡ. 通院経過の⑤調整法に記述します。
なお、PCRT症例報告はソフト面調整法(認知調整法)を中心とした報告が主となりますが、 PCRTハード面調整法のみの症例も査読対象です(下記の補足を参照)。
ハード面調整法
身体・機能へのアプローチ
- 目安検査・EB検査の結果を明記 必須:どの検査で何を検出したか。
- PCRTハード面調整法(振動調整法・意念調整法)以外の調整法(AM・鍼灸・理学療法・その他)を併用してよい。
- ただし併用した場合も、PCRTの目安検査・EB検査の所見は必ず記載する。
- 使用テクニック(振動調整法・意念調整法、その他)と対象部位を具体的に。例:腰椎軟骨系 L5/S1間、頭蓋部:側頭骨・甲状腺部。
ソフト面調整法
誤作動記憶へのアプローチ
- 目安検査・EB検査カテゴリ:身体系/エネルギー系/情報系のどれで反応したか。動作・場面のイメージで反応した場合は情報系に含める(イメージ系という独立分類は設けない)。
- 反応言語・立場:検出された反応言語と、その回の立場(〜として)。
- 誤作動記憶:その内容と起源(背景)。いつ・どんな場面で学習されたか。
- 認知調整法のプロセス:問いかけ・肯定的意図の確認・書き換え。
- プロセスの記載が必須 必須:結果だけでなく「どう辿ったか」を書く。
- 反応の推移:陽性→陰性(改善)の変化を記す。
F記載の3層構造(開示・非開示・推察)
症例報告には患者のデリケートな内面が含まれます。混同を避けるため、内容を次の3層で区別して扱います。特に婦人科系・メンタル系・トラウマに触れる症例では慎重に。
① 開示
患者が語り、報告に載せてよいと確認できる内容。匿名化を前提に記述する。公開の同意は施術開始前に得ておくと、記録の質と患者の自由度の両方が守られる。
② 非開示
個人特定につながる情報や、患者保護のため報告に載せない内容。要点のみ抽象化するか、割愛する。
③ 施術者の推察
検査所見から施術者が解釈・推論した内容。「推察」と明示し、事実(患者が語ったこと)と分けて断定を避ける。
G承認(合格)条件
- 規定書式に準じていること。本ガイドC章の項目(Ⅰ〜Ⅲ)を満たし、⑦スケール表・⑧折れ線グラフを備えていること。
- PCRTの治療哲学・概念・特徴が反映されていること。誤作動記憶・機能重視・肯定的意図などが、経過やⅢ. 考察に表れていること。
- ハード面は他テクニック併用可。ただし検査所見は必須。AM・鍼灸・理学療法等を加えてもよいが、PCRTの目安検査・EB検査の結果を明確に記すこと。
- ソフト面調整法のプロセスの記載は必須条件。反応言語・誤作動記憶・認知調整のプロセスが辿れるように書かれていること。
※ 本条件は認知調整法を用いた症例に適用されます。PCRTハード面調整法のみの症例も査読対象であり、その場合は反応言語に関する記述は不要です(条件①〜③は適用されます)。
H提出前チェックリスト
- Ⅰ. 基本情報の必須項目(報告者情報・①〜⑧)がすべて揃っている合格①
- ③はじめに・Ⅲ. 考察を記載した(省略されやすい2項目)合格①
- Ⅱ. 通院経過が実際の通院回数分あり、各回に①〜⑥が揃っている合格①
- ⑦スケール表と⑧折れ線グラフを掲載し、本文の数値と一致している
- 数値は術前値で記載している(CGI-Iは第2回以降)
- ハード面:目安検査・EB検査の結果を明記した(他テクニック併用時も)合格③
- ハード面:使用テクニック(振動調整法・意念調整法 等)と対象部位を具体的に記した
- ソフト面:反応言語・誤作動記憶・起源・認知調整のプロセスを記述した(ハード面調整法のみの症例では不要)合格④
- Ⅲ. 考察でPCRTの概念(誤作動記憶・機能重視・肯定的意図等)が反映されている合格②
- 患者を特定できる情報を排除し、匿名化した(年齢帯・性別・職業程度)
- 公開の同意を得た。同意は可能であれば施術開始前に取得しておくことが望ましい(事後の依頼は、患者が断りにくい状況を生むため)。患者が未成年の場合は保護者の同意を得る推奨
- 開示・非開示・推察の3層を区別し、推察は「推察」と明示した
- (メンタル系・パニック既往等)予期不安のスケールを併記した
付記入例(自律神経系:多汗症)
参考例:「経営者の多汗症」(自律神経系・5回通院・NRS 10→2)を用いて、Ⅱ. 通院経過の書き方を示します。実際の報告はこの粒度で各回を積み重ねます。 タイプ別の記入見本は、提出方法ページからダウンロードできる「記入見本集」に収録しています。
心身条件反射療法(PCRT)/ Life Compass Academy
書式のダウンロード・提出方法は 症例報告の提出方法と見本・テンプレート へ