心因性頻尿・パニック障害 報告者:土子 勝成 B.C.Sc.

心因性頻尿・パニック症状

38歳・男性・会計士 施術回数:7回 治療期間:2025年9月〜12月 結果:改善(継続中)
主訴
心因性頻尿・パニック症状
罹患期間
中学時代〜(長期)
症状の特徴
閉鎖空間(飛行機・電車・映画館)での予期不安・頻尿
他院治療歴
精神科(パニック症状として治療・改善不十分)

現病歴

中学・高校時代に満員電車で「降りられないのではないか」という強い恐怖を体験し、その際に尿意を感じたことが発症のきっかけ。以来、飛行機・バス・快速電車・映画館など自由にトイレへ行けない環境を予期するだけで強い尿意を感じるようになった。社会人になってからは出張など業務上避けられない場面でも強い負担を感じ、搭乗前に何度もトイレへ行くが尿はほとんど出ないという安心行動が定着していた。精神科でパニック症状として治療を受けたが十分な改善は得られなかった。

治療回数ごとのスケール推移

評価項目 初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目
症状の程度 9 8 7 5 4 3 2
予期不安 10 9 8 7 5 4 3
CGI-I(改善度) 4 3 3 2 2 1
CGI-S(初回重症度) 5

スケール推移グラフ

症状の程度 予期不安 CGI-I(改善度) CGI-S(初回重症度)

施術経過

第1回(2025年9月17日)
補足検査で膀胱の筋肉系EB反応を確認。「空港へ向かう快速電車内での尿意イメージ」「中学時代の満員電車での動悸体験」に情報系EB陽性。PCRT認知調整では「恐れ」「執着心」の反応言語が確認され、職場の人間関係・中学時代の対人経験・進学校での劣等感との関連が明らかに。調整後EB陰性化。
第2回(2025年9月22日)
「自宅でトイレを気にすることが減った」と報告。「飛行機離陸時の尿意」「部下が増えたこと」にEB陽性。「甘えないようにする」という自己認識や仕事を抱え込む傾向・「ミスをしてはいけない」思考との関連を調整。
第3回(2025年9月25日)
「電車が止まった際に以前のような動悸が起こらなかった」と報告。「部下は言われたことをきちんとやるべき」「親孝行すべき」などの強い"べき思考"や出世・責任への執着との関連を調整。
第4回(2025年10月2日)
「症状を気にする機会が減ってきた」と報告。バスや会議前の尿意・人との関わりへの思い込みでEB反応。中学時代の対人経験から「人と関わるのは苦手」と決めた思考や活動から逃げたい感情との関連を調整。
第5回(2025年10月16日)
この2週間で海外出張(長距離フライト3回)を経験したが、搭乗前・離陸時の尿意をほとんど感じなかったと報告。飛行機関連のイメージでEB反応が残存するも、他者比較による劣等感や仕事への不安との関連を調整し陰性化。
第6回(2025年10月30日)
「不安が生じると膀胱へ意識が向く流れが分かるようになってきた」と報告。仕事の多忙さによる不安・家族関係への将来の心配・仕事上のコントロール感へのこだわりとの関連を調整。
第7回(2025年12月4日)
「調子が良いときは何も考えず電車に乗れる」「電車が止まっても冷静にいられた」と大きな改善を報告。同窓会・会議場面でEB反応が残存するも、金銭的不安・仕事上の責任感との関連を調整し陰性化。
改善・継続施術中(未完治)

考察

本症例は、満員電車で降りられないのではないかと感じた体験を契機に生じたパニック反応が尿意と結びつき、心因性頻尿として表出した症例である。PCRTによる評価では、対人関係の経験・自己評価・仕事上の責任感などに関連する無意識的な思考(「人と関わることへの苦手意識」「失敗してはいけない思考」「責任を強く背負う傾向」)が症状の維持要因として確認された。施術の過程で患者自身がこれらの無意識的な思考と症状のつながりに気づき、経過とともに予期不安が軽減し、飛行機や電車でも症状が出にくくなる行動面の改善が認められた。本症例から、心因性頻尿の背景にある無意識的な思考に気づき納得していく過程が症状改善につながる可能性が示唆される。

土子 勝成 先生 B.C.Sc
PCRTインストラクター(PCRT歴19年)/つちこカイロプラクティック(ゴルファーズクリニック)
2026年3月掲載