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  脳に学習された誤作動記憶を調整する心身相関統合療法

 心身条件反射療法
(ニューロパターンセラピー)

Psychosomatic Conditioned Reflex Therapy

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頚部ジストニア(痙性斜頸)・攣縮性斜頸

報告者 : 保井 志之ファミリーカイロプラクティックセンター)                  2017.10.27

【はじめに】

頚部ジストニアの症状を長年抱えていた患者さんが来院され、最初は、誰が見ても明らかに正常ではない首の動きが、数回の施術後には症状があるのが分からなくなるほどに改善された一症例をご紹介する。

【患者情報】

四十代女性、事務職、7年ほど前より頚部ジストニアの症状を発症。個人病院や大学病院を転々とする。MRIなどの検査を受け、痙性斜頸(ジストニア)の診断を受ける。投薬、ボトックス注射、電気療法、マッサージ、筋膜リリース注射、ストレッチ、運動療法、リハビリなどの施術を受ける。来院時には手元を見続けられない。姿勢をまっすぐにして正面を向いて静止できないなどの症状があり、問診している際にも正面をまともに向くことができず、顎の下部付近に手を当てて(感覚トリック)、首の曲がりを補っていた。

頚部ジストニアにも様々な程度があるが、施術者から診て「8レベル位悪いのではないか」という印象を受けたが、ご本人によると最も悪い時には上半身が曲がることもあったので、その時に比べると、現在はで6レベル(NRS)とのことだった。

【初回施術】

筋骨格系の検査では、頚部の右回旋、右側屈、左上肢挙上、左肩甲骨伸展で陽性反応。PCRTの検査では座って下を向くイメージで陽性反応。最初は、脊柱関節のバランスを整える目的で、AM(アクティベータメソッド)にて調整を行う。次にPCRTのハード面調整法で脳神経(三叉神経)と頭蓋骨の調整を行う。PCRTソフト面の調整では、患者から思い当たる原因を申告されたので、そこから検査を進め、「恐れ」に関係する内容で調整を行なった。

調整後、初回の施術内容やジストニアの説明、今後の治療計画などを患者に話した。その際には、最初の問診時のように患部に手を触れる感覚トリックなどを使わずに正面を向いて会話ができていた。

【2回から4回目の施術】

2回目の来院時は顔の症状も和らぎ、首の曲がりも軽減していた。数値による自覚症状も6レベルから3レベルに軽減された。1回目の施術後には明らかに改善の変化が見られた様子で6回の回数券を購入された。2回から4回までの間は、特に過去の人間関係に関する内容で陽性反応が示された。関係するキーワードは「執着心」で「〜すべき」や「〜すべきではない」の内容が明確になった。「全て自分が正しいと思っている」ということに対して、誤作動記憶の陽性反応が示されたということを自覚されたらしく、笑いながら納得した様子だった。

【5回目の施術】

以前のPCRTの検査で陽性反応が示されていた「会社に行くイメージ」、「特定の人に対するイメージ」などの陽性反応はすべて陰性反応に転じていた。「職場で椅子に座って下を向くイメージ(体感)」では陰性反応が示されたが、「その体勢を客観的に見ているイメージ(客観視)」では陽性反応が示された。そこで、「下を向いて仕事をしても、リラックスできている自分の姿を想像できますか?」と質問したところ、患者さんは「その姿は想像できない。」という。理想の自分の姿を想像しようとすると陽性反応(誤作動反応)が示されるので、その状態でPCRTの頭蓋骨調整を行う。そして、少しチャレンジ的ではあるが、「恐らく想像できないのではなくて、想像したくないというもう一人の自分がいる可能性があると思いますので、その辺りも次回の課題として検査していきましょう」と提案させてもらった。

【6回目の施術】

来院時にジストニアの症状の程度を尋ねてみると2.5のレベル。「下を向いて仕事ができないイメージ」から陽性反応が示されたので、そこからPCRTのソフト面の検査を行う。そこでは、大脳皮質系レベルで、「意味記憶」、「ストーリー」で反応が示される。この「ストーリー」の陽性反応は、複雑な心理要素を含んでいるサインで、症状を治したい一方で、そこにブレーキを掛けるもう一人の自分がいるというような誤作動記憶である。そのブレーキとは何かと言うと、症状を持ち続けることで得られる隠れた目的のようなもので、それは、当の本人の意識にはない。

ちなみに「ストーリー」に関する陽性反応が出た場合には、施術者にとってもチャレンジ的なコーチング手法が要求される。ややもすれば、誤解を受けて患者さんとの信頼関係を失いかねないハードルの高い課題である。患者さんに理解を得ながら検査を進めると、その「隠れた目的」は、「被害者、あるいは犠牲者であるという承認」という項目で陽性反応が示された。そのことに関して丁寧に質問すると、患者さんから、「ある人に迷惑をかけられているということを分かってほしいという自分がいる」という答えがかえってきた。つまり、その人から迷惑を受けているということを伝えきれない自分、理解してもらえない自分が、ジストニアの症状で無意識的に訴えているということになるのだろう。

【7回目の施術】

7回目の検査も6回目と同様に「下を向いて仕事ができないイメージ」で陽性反応が示された。そこからPCRTのソフト面の検査を行うと大脳皮質系レベルで、「意味記憶」、「ストーリー」で反応が示され、「隠れた目的」は、前回と同様に「被害者、あるいは犠牲者であるという承認」という項目で陽性反応が示された。前回と同じ人に関係しているかもしれないので、前回の人をイメージしてもらって検査をしてみると陰性反応。そのことを患者さんに伝えると、「同じ人で、その人には別の内容のことを分かってほしいのかもしれない」という答えが返ってきた。そこで、そのことをイメージしてもらうと陽性反応が示されたのでその内容で調整を行なった。

その後、患者さんの表情もすっきりした様子。複雑に絡んだ心理面の関係も受け入れてくださった様子で満足されていた。帰りの会計時には、購入された6回の回数券も終了し、経済的なことも考慮して、このまま継続治療するのかどうか迷っているとのことだった。下を向いて仕事をする以外の日常生活には支障がなくなっているので、当初ほどの深刻な状況ではないまでに回復したことが伺えた。

【考察】通院されている過程で、患者さんから冗談交じりに「ジストニアって本当に治るのですか?」という質問を2回ほど受けたことがある。私は「治るから治療しているのですよ・・」と笑いながらお答えしたが、その質問の裏に様々な心理的要素が関係しているだろうと勘ぐった。「今まで様々な医療機関で完治しないので、治らないと思い込んでしまったのだろうか?」「初回の施術で改善されて、可能性を信じたから回数券を購入されたのになぜその質問を・・・?」「実際に改善度のレベルが上がっていることを自覚されているのに、なぜ治ることに疑問をもつのだろうか・・・? 」「7年間もジストニアの症状を抱えていたので、そのような疑問も致し方ないのだろうか・・・?」一般の人がジストニアの症状を発症した場合、まずは病院を受診するだろう。そして、投薬かボットクス注射の治療を受けるのが普通である。治療者が治るという確信を持って施術にあたっても、当の本人が自分の治る力を信じなければ、治るものも治らない。特に心因性が絡んだ症状において本人の治る力に対する確信は多大な影響を及ぼす。初診時からするとかなり改善されてご本人もその改善を自覚されている。まだ完治とは言える状態ではないので継続された方がいいと思うが、患者さんにも事情があるので致し方ないだろう。

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