無意識について

私(意識)とこびとたち(無意識)の関係

 
私たちは、行動や思考をすべて自分の意識でコントロールできていると錯覚しがちです。しかし、私たちが注意できる意識以外に、無意識に働く「こびとたち」がたくさん存在します。
多くの慢性病や症状は、無意識的な習慣に関係します。病的な習慣は、外界からの情報を脳に「入力」し「脳が誤作動記憶」して病的に「出力」するパターンを繰り返しています。
その病的な「習慣と循環」を切り替えるには、「入力」「誤作動記憶」「出力」のパターンを新たに書き換えることが必要になります。

私たちは、行動や思考をすべて自分の意識でコントロールできていると錯覚しがちです。しかし、私たちが注意できる意識以外に、無意識に働く「こびとたち」がたくさん存在します。例えば、ある目的の方向へと意識を向けて歩く場合、足や手は無意識に動きます。足を右出せ、左出せといちいち意識を向けていません。このように私たちの生活の中で無意識のこびとたちがたくさんの働きをしてくれています。
 

無意識のこびとたちは、脳や脊髄の神経系に多く存在して、電気配線のようなネットワーク(神経回路網)を作っています。実は、私たちの行動や思考のほとんどが、この無意識の「こびとたち」によってコントロールされているのです。そして、多くの病気や症状はこの無意識の「こびとたち」の誤作動記憶によって生じているのです。

 

心には「知」「情」「意」という三つの成分があります。情報的な意味をつけると、「知」は認識や知識、「情」は価値判断、「意」は計画や制御に対応します。視覚、聴覚、身体感覚、味覚、臭覚などの外界からの刺激が入力され、脳で知覚され、知識情報として認識され、計画や制御、価値判断と連絡を取り合いながら、脳に記憶されます。そして、必要な時にその記憶を想起させ、認識、価値判断、計画、制御などの情報処理から、ニューラルネットワークの神経回路網(こびと)を通じて自動的に運動処理されます。

 

この連続したパターンは、意識というサーチライトを当てれば、一時的に注意することができますが、ほとんどが無意識のこびとによって自動的に処理され、「入力」「学習」「記憶」「出力」のパターンを繰り返しています。そして、脳の中では無意識レベルで情報処理が行われ、こびと同士が結合し合って、出力として自律神経系にアンバランス状態を作ったり、思考パターンや行動バターンを作ったりして、日常生活に様々な影響を及ぼしているのです。
 

ここで注目してほしいのは、多くの慢性病や症状がこの無意識的なパターン(習慣)に関係するということです。病的なパターン(習慣)は、外界からの情報を脳に「入力」し、「脳の誤作動記憶」により、病的に「出力」するパターンを繰り返しています。その病的な「習慣と循環」を切り替えるには、「入力」「誤作動記憶」「出力」のパターンを新たに上書きすることが必要になります。ニューロパターンセラピーでは新たなパターンを作り出すお手伝いができます。
 

記憶は大きく分けて、短期記憶と長期記憶に分類されます。長期記憶はさらに非陳述記憶と陳述記憶に分類されます。身体で覚える非陳述記憶は、「手続き記憶」ともいわれ、頭で覚える陳述記憶は「出来事記憶(エピソード記憶)」と「意味記憶」に分類されます。

 

身体で覚える手続き記憶とは、自転車の乗り方、ブランコの漕ぎ方、楽器の演奏、武道の型、お経の暗証など、様々な五感情報と身体の緊張が結びつけられて記憶されます。例えば聴覚刺激と筋肉緊張、あるいは味覚刺激と臓器緊張など様々な組み合わせが症状につながって記憶されます。ニューロパターンセラピーではこれらの記憶情報を視覚、聴覚、体感覚、味覚、臭覚に分類し、肉体の「アンバランスパターン」とつなげている脳の誤作動記憶情報を検査します。そして、それを症状につながらない「バランスパターン」へと改善する治療を施すことができます。

 

頭で記憶する出来事記憶には、日記的に記憶する言語的出来事記憶と、映像的に記憶する非言語的出来事記憶があります。言語的出来事記憶の例としては、3年前に腰を痛めたという出来事が日記的に脳に記憶され、脳は継続的に腰を痛めているという現在進行形の錯覚をして実際に痛みの感覚を感じてしまう場合があります。一方、非言語的出来事記憶の例としては、日記的な物語が映像的に記憶され、その映像記憶と症状の感覚が結合されて、脳が実際に症状を感じる場合があります。 
 

意味記憶には、様々な情報が知識として辞書のように入力される言語的意味記憶と、映像が何かの意味につながる非言語的意味記憶があります。言語的意味記憶の例としては、肉体的な構造異常が症状につながる、あるいは花粉の時期にはアレルギー症状が出るなどの外部からの知識情報が症状につながるように記憶され、その情報によって実際に症状が発現される場合があります。非言語的記憶の例としては、病院で画像診断を受け、ヘルニアや構造異常などのレントゲンやMRI写真を症状の因果関係の説明で見せられた場合、症状とその映像をあたかも原因であるかのようにつなげて、そのヘルニアや構造異常が改善されないと症状が改善されないという意味づけをして、その映像記憶が症状に影響している場合があります。 
 

このような症状につながる脳の誤作動記憶改善のための手順として、最初は無意識に記憶された五感情報につながる非陳述記憶から検査、治療を進めます。多くの原因パターンは身体に記憶された非陳述記憶の施術で改善されますが、それでも症状が残っている場合は、次の陳述記憶の検査を行います。慢性症状の多くはこの手順で施術を進めていくと、症状を創り出している脳の誤作動記憶が整理整頓されて、症状につながらない記憶へと上書きされ、症状が改善されていきます。