ゴルフイップス
症例テーマ:
●ゴルフイップス
報告者情報:
●氏名:倉持怜史
●開業歴:10年
●PCRT歴:4年
●施術院名:接骨院くら
●初診年月日:2022年8月29日
●報告期日:2022年11月29日
症例要約:
結果判断: 完治 or 未完治 |
完治 |
治療期間: | 2022年7月14日〜2022年11月15日 |
通院回数: | 10回 |
一回の治療期間 | 45分以内 |
治療経過の良し悪し: | 良好 |
治療回数毎のスケール表
初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | 7回目 | 8回目 | 9回目 | 10回目 | 11回目 | |||||||
症状の程度 | 7 | 7 | 7 | 4 | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 1 | 1 | ||||||
症状に対する予期不安 | 10 | 10 | 8 | 5 | 5 | 5 | 4 | 3 | 3 | 3 | 1 | ||||||
CGI-I(改善の程度) | 4 | 4 | 3 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | |||||||
CGI-S(初診時の重症度) | 5 | ←初回時のみ入力 |
はじめに:
10年ほど前から腰痛を患っている患者。当院でPCRT認知調整法で症状も安定してきております。熱心にゴルフをしている方で(週1回はレッスンプロに指導を受ける)、練習では良いスイングが出来るがラウンドになると信じられない程、崩れると相談を受け、腰痛のメンテナンスとともにゴルフイップス の治療をスタートする。
患者の愁訴:
- 前日の練習で良くてもコースに出た際のラウンドではまったく打てない
- 楽しくまわれない
- トップから降ろす際に違和感を感じる
- インパクトの瞬間から振り切る際に身体、腰が固まりスムーズに打てない
- しゃがんで作業・中腰姿勢で腰痛
患者情報:
- 年齢:36歳
- 性別:男性
- 職業:農業機械の修理・メンテナンス
- 種目:ゴルフ
- 競技レベル:
- 患者の特徴(簡単に):人が苦手で 周りを気遣い 争うことが嫌い
- 発症時期:5年ほど前
初回〜通院施術回数毎の記録
初回:R4、7月14日
目安検査
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
練習中 ゴルフスイングイメージ | ○ | |
ラウンド中 ゴルフスイングイメージ | ○ | |
小脳検査:左踵叩打 後頭骨を押さえる 手関節回内回外検査 | ○ |
ハード面調整法:
● AMベイシック
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
補足説明:
「反応言語」とは、PCRT認知調整法の検査で用いる辺縁系領域に関連する言語チャートからPRT(生体反応検査法)によって陽性反応が示された言語である。臨床では「キーワード」と呼ぶことが多い。
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
ラウンド中 ゴルフスイングイメージ | 警戒心 | 夫としてー奥様との心の動き →ラウンドを奥様に内緒で行ったことを警戒心→さらに →ばれたら二度と行けなくなってしまうことを警戒 |
陰性化 |
小脳EB | 成長 | 家族ー夫として →理想の夫と比べて50%ぐらい →只々、認識して頂き調整 →理想の夫とは? →仕事、家事、子育てをバランスよく妻と半々で行う |
陰性化 |
※【成長】というキーワードで理想の夫と無意識の本音の自分とのギャップに気が付いた様子
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
ラウンド中 ゴルフスイングイメージ | ○ | |
小脳検査:左踵叩打 後頭骨を押さえる 手関節回内回外検査 | ○ |
2回目:8日後来院 R4、7月22日
患者コメント(愁訴):
- あれからはラウンドにいってないのでコースに出た際のイップスは分からない
- スイングの振り切る際に腰が固まる
- 自宅で床に座っている時に腰が重苦しい、イライラする
目安検査:
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
スイングの振り切る際に腰が固まるイメージ | ○ | |
自宅であぐらで座っているイメージ | ○ |
ハード面調整法:
● AMベイシック+脊柱アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
スイングの振り切る際に腰が固まるイメージ 右腰方形筋EB |
執着心 | ゴルフのメンバー →ラウンド中にメンバーの雰囲気が悪くなることが嫌だ →空気を壊したくない |
陰性化 |
自宅であぐらで座っているイメージ | エピソード記憶 ※痛みの信号が脳で発火していて条件付けのように症状が出る痛みの出かたがあることを丁寧に説明して ①症状のある自分の姿を客観的に認識して頂き調整 ②症状のない理想の姿を客観的に認識して頂き調整 ①②を交互に調整 |
陰性化 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
スイングの振り切る際に腰が固まるイメージ | ○ | |
自宅であぐらで座っているイメージ | ○ |
3回目:17日後来院 R4、8月8日
患者コメント(愁訴):
- 前回の自宅で床に座っている時に腰が重苦しい、イライラする症状改善good
- スイングの振り切る際に腰が固まる症状改善good
- ラウンドは行けてない
- 子供が体調悪く、病院へ行ったりとバタバタしている
- ゴルフ練習でダウンスイング時に恐くて打てない(トップを叩いてしまうのでは)
目安検査
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
スイングの振り切る際に腰が固まるイメージ | ○ | |
ゴルフ練習でダウンスイング時に恐くて打てない | ○ |
ハード面調整法:
● AMベイシック+腰椎骨系意念調整
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
ゴルフ練習でダウンスイング時に恐くて打てないイメージ |
つながり・愛情 | メンバー →消防団のメンバーとの心の動き →そのメンバーとのつながりを大切にしているが楽しくない、行きたくない自分がいる |
陰性化 |
同上 | 同情心 | 息子としてー父親との心の動き →父親を気の毒だな、かわいそうだなと思う |
陰性化 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
ゴルフ練習でダウンスイング時に恐くて打てない | ○ |
4回目:10日後来院 R4、8月18日
患者コメント(愁訴):
- 前回施術後、ダウンスイングスムーズに打てる 恐さもないgood
- ラウンドはいけてない
- 最近、中腰作業後の立ち上がりで腰が辛い
- 左下肢、左膝に力が入りにくい、のりにくい
※4回目の施術は腰痛の施術をメインに行う
目安検査
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
左下肢、左膝に力が入りにくい、のりにくいイメージ | ○ | |
左膝 膝蓋骨タッピング刺激 膝蓋骨骨系EB | ○ |
ハード面調整法:
● AMベイシック+脊柱アドバンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
左下肢、左膝に力が入りにくい、のりにくいイメージ |
劣等 | 学童野球部での劣等 →一生懸命、練習しても監督に怒られる →何をやっても上手くいかない感じ →練習すればするほど上手くいかない ※今、改めて振り返ると上手くいっていることもあった。怒られすぎて、上手くいってないように感じていただけかも? |
陰性化 |
同上 | 意欲 | 学童野球部 →2塁への走塁で左膝を切った(かなり出血して外科で何針も縫ったとのこと) →治り切る前に再度、2塁への走塁で再負傷 →明らかに、アウトのタイミングであったが、滑りこまないと怒られる、怒鳴られるため納得いかないが滑り込んだ→そして、同じ個所をきって再負傷した |
陰性化 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
左下肢、左膝に力が入りにくい、のりにくいイメージ | ○ | |
左膝 膝蓋骨タッピング刺激 膝蓋骨骨系EB | ○ |
※4回目施術のポイント
左膝の荷重時、力が入りにくい症状が施術後、踏ん張れるようになり驚かれていた。
小学校の時のケガが影響していて、走塁することに納得しないで滑り込み、それで再負傷したことに納得いかない自分がいて今でもモヤモヤしていることに気が付いた。
5回目:R4、9月27日(8/26, 9/6, 9/20)は腰痛、股関節の調整
※ゴルフイップスの調整は久しぶり
患者コメント(愁訴):
- ゴルフスイングでトップから降ろす際にスムーズに降ろせない
- 身体が固まる
目安検査:
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
ゴルフスイングでトップから降ろす際イメージ | ○ |
ハード面調整法:
● AM+アドバンス(脊柱、股関節)
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
ゴルフスイングでトップから降ろす際のイメージ |
探究心 | 父親として | 陰性化 |
同上 |
義務 | 父親として | 陰性化 |
同上 |
義務 | 弟として兄との心の動き →実家を兄貴を支えないと支えるべき |
陰性化 |
同上 |
団結心 | 小学校6年生の過去ー兄弟関係 小学校6年時、年上の兄が思春期で以前の様な兄弟関係が築けなくなり離れていったような感覚 →団結心が強化された経験 |
陰性化 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
ゴルフスイングでトップから降ろす際イメージ | ○ |
6回目:7日後来院 R4、10月4日
患者コメント(愁訴):
- 前回のゴルフスイングでトップから降ろす際にスムーズに降ろせない改善good
- 10/3ラウンドへ行った。途中で仕事の電話のトラブル電話の対応をし、その後からゴルフの調子も崩れた
- 打つ際に狙いが定まらず頭が真っ白になる
- ラウンド中にどの様に打っていくか考えを途中でやめたくなる
目安検査:
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
打つ際に狙いが定まらない イメージ | ○ | |
ラウンド中にどの様に打っていくか考えを途中でやめたくなる | ○ |
ハード面調整法:
● AM+脊柱アドバンンス
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
打つ際に狙いが定まらず頭が真っ白になる イメージ |
恐怖 | ゴルフ →狙ったとこまで届かないのではとの恐れ →大たたきするのではの恐れ →それによって、周りの空気、雰囲気が壊れるのではの恐れ →周りの人をそこまで気遣うようになったきっかけは? →3年前ー友人 →3年前に仲の良い友人を怒らせた経験があり、それから音信不通に ※上記の経験により過剰に周りを気遣う、雰囲気を壊さないようにと意識する |
陰性化 |
ラウンド中にどの様に打っていくか考えを途中でやめたくなる イメージ | 猜疑心 (自分自身への猜疑心) |
中学2年の過去ー陸上 →中学時代に一生懸命に陸上に打ち込んでいたが思ったように成績を残せなかった →努力しても結果が出ない |
陰性化 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
打つ際に狙いが定まらない イメージ | ○ | |
ラウンド中にどの様に打っていくか考えを途中でやめたくなる | ○ |
※6回目の施術の考察
【猜疑心】というキーワードで、患者自身の思考のクセの出所に気が付いた様子
結果も大切だが、そこへ向けての過程であったり、上手くいかなかったことからの学びも大きな財産になることもあるとアドバイスさせて頂いた。
7回目:13日後来院 R4、10月17日
患者コメント(愁訴):
- 前回施術後、2回ラウンドしたがスイング良好
- 打つ際に狙いが定まらず頭が真っ白になる改善
- ラウンド中にどの様に打っていくか考えを途中でやめたくなる改善
- パーがとれるイメージがわかない 自信がもてない
目安検査:
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
パーがとれるイメージが湧かないイメージ | ○ |
ハード面調整法:
● AM+腰椎4-5番骨系 意念調整法
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
パーがとれるイメージが湧かない イメージ |
義務 | ラウンドではパーをとらなければ →70台で回らないと →その思いが出てきた経緯は? →レッスンプロが練習のスイングをみて「もっと結果が出るはずだ」という言葉 |
陰性化 |
同上 | 恐怖 | 5年前過去ー仕事 →5年前に今の仕事を辞めて違うことをしようかと悩んでいた →その当時何が不安でしたか? →毎日、仕事に追われていた →毎年新しい機械がでるのでそれを売らないといけない 他の恐怖で反応ー5年前 →商談が進んでいたお客さんがいたが、他の業者にとられた →会社に戻って上の人に酷く怒られた →どうにも手が離せずに、そのお客さんの所へ顔を出せずにいた経緯があり、今でもモヤモヤしている |
陰性化 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
パーがとれるイメージが湧かない イメージ | ○ |
8回目:7日後来院 R4、10月24日
患者コメント(愁訴):
- 前回施術後、ラウンド出来てないが自信が出るようになった good
- パーをとるイメージもできる
- ゴルフのことを楽しく考えられるようになった good
- パター練習が続くと腰部が痛む
目安検査:
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
パター練習が続くと腰部が痛む イメージ | ○ | |
左右腸骨骨系EB(腸骨タッピング刺激) | ○ |
ハード面調整法:
● AM+腰部意念調整法
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
パター練習が続くと腰部が痛む イメージ |
自尊心(能力的) | ゴルフで負けないと思っている方に負けたこと |
陰性化 |
同上 | 意欲 | 仕事 →仕事が処理しきれないほど舞い込んでくる →早く処理したい →先回りして仕事を終わらせたい →1人で仕事をしたい→独立したい |
陰性化 |
腸骨骨系EB 意味記憶②情報 |
中学生の頃 →陸上部の監督に「お前は体幹が弱いから腰痛になる」 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
パーがとれるイメージが湧かない イメージ | ○ | |
左右腸骨骨系EB(腸骨タッピング刺激) |
○ |
※8回目の施術の考察
施術当初の身体が固まる、トップから降ろす際の違和感はほぼなくなった。
7,8回目の施術では身体への明らかなイップスではなくイメージがわかない、頭が真っ白になる、考えをやめたくなるなどメンタル面の要素が強く、その信号を誤作動信号と捉え調整していった。
PCRTでは身体への分かりやすい不調だけではなく、思考のクセ、捉え方のクセ、パターンなどに変化をもたらし、結果スポーツパフォーマンスが向上する施術だと改めて感じた。
9回目:13日後来院 R4、11月7日
患者コメント(愁訴):
- ドライバーが打てない、トップから下ろす際に身体が固まる
- ドライバー以外はOK
- 上り坂を歩いていると右腰部痛
目安検査:
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
ドライバースイングイメージ | ○ | |
ドライバー以外のスイング | ○ |
ハード面調整法:
● AM+腰部意念調整法
ソフト面調整法: PCRT認知調整法
情報系EB 身体系EB | 反応言語 | 内容 | 調整後 |
ドライバースイングイメージ 大脳辺縁系EB |
虚栄心 | ゴルフ →遠くに飛ばしたい →上手い人だと思われたい |
陰性化 |
同上 |
羞恥心 | ゴルフ →昔、ティーショットでミスした経験 →お情けでやり直してもいいよと言ってくれた |
陰性化 |
上り坂を歩いているイメージ |
恐怖 | 高校生ー陸上部 →ライバルに負けることが不安 →負けて自分が傷つくことが恐れ |
陰性化 |
同上 |
警戒心 | 高校生ー陸上部 →先輩からの目を警戒心 →ちゃんとやらないと →結果を出さないと |
陰性化 |
●目安検査の再評価結果:
陽性 | 陰性 | |
ドライバースイングイメージ | ○ | |
上り坂を歩いているイメージ | ○ |
10回目:8日後来院 R4、11月15日
患者コメント(愁訴):
- 前回施術後、ドライバースイイング良好
- 前回のコンペでスコアはあまり良くなかったが、今までのスイングでの固まる感じはなくなった good
目安検査:
●EB検査を目安検査とする
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 | 陽性 | 陰性 |
情報系(症状イメージ):ドライバースイングイメージ | ○ |
※ゴルフイップスが改善。
これからは腰痛、メンタル系の調整をメインに施術。
ゴルフイップス治療は終了。
考察
ゴルフイップス。
この患者さんは一つのイップスを改善すると、違うイップスが出ることが特徴でした。
しかしながら、PRT検査を軸に、その症状に関するイップス信号を一つ一つ、調整していくにつれ、徐々に安定していった症例である。
現在はゴルフスイングのイップス は改善し安定。
腰痛、メンタル面の調整を主にPCRT施術を継続中。
何かのきっかけでイップスが再発することはあるので、継続的にメンテナンスさせて頂く。