卓球イップス

 
症例テーマ:
●卓球イップス
 
報告者情報:
氏名:倉持怜史
開業歴:10年
PCRT歴:4年
施術院名:接骨院くら
初診年月日:2022年5月30日
報告期日2022年8月8日
 
症例要約:
 

結果判断:
完治 or 未完治
完治
NRS10→0まで改善(患者の主観)
治療期間: 2022年5月30日〜2022年8月2日
通院回数: 8回(イップス治療は6回) 3,4,8回目はハード面調整
一回の治療期間 45分以内
治療経過の良し悪し: 治療経過良好

 
治療回数毎のスケール表
 
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 8回目 9回目
症状の程度 9 7 4 4 4 2 2 1 0
症状に対する予期不安 10 9 6 6 6 3 3 2 0
CGI-I(改善の程度)   3 2 2 2 2 2 2 1
CGI-S(初診時の重症度) 6 ←初回時のみ入力

 
はじめに:
卓球選手。以前からアクティベータメソッドで筋骨格系のメンテナンス、PCRTでハード面調整をさせて頂いている選手です。現在は自分でクラブチームを運営(国体に出場する選手も在籍)。本人も数年前に教職員大会で全国大会シングルス優勝の実力者。
最近、サーブの調子が悪いと相談を受けて、PCRT認知調整法で施術させて頂いた臨床報告をする。
 
患者の愁訴:

  • サーブイップス(バックの斜め下サーブで手首が固まる)
  • 両膝痛改善

 
患者情報:

  • 62歳 女性
  • 前職は教職員 現在は事務員、教職員関係
  • 家族構成:夫 長女(元卓球日本代表 オリンピック選手)次女 長男(卓球実業団選手)
  • R1.教職員全国大会 シングルス優勝
  • 平日週2回練習 土日試合or練習 個人で県外の大会へ積極的に参加する
  • 患者はもちろん子供たちも卓球選手であったため、卓球に携わることが多い生活
  • 長女がオリンピック選手、日本トップ選手であったこともあり、講演会などの依頼も多く卓球の繁栄にも尽力する
  •  
  • 既往歴:両膝 変形性膝関節症(病院では手術を勧められるが本人の希望でしない)
  • 右手首(R2  手根管症候群Ope)
  • うつ病(中程度)

 
発症からの経緯:

  • 1年ほど前からサーブの調子が悪く、5月の試合でまったく入らなくなった
  • バック斜め下サーブが入らなくなった
  • 他のサーブは大丈夫
  • 色んな方のアドバイスを聞いて練習していくうちに余計に意識し、入らなくなっていった

 

 
初回〜通院施術回数毎の記録
 
初回:R4、5月30日
 
イップス 症状の数値化:
 

症状の程度 9/10
予期不安 10/10
CGI-I(初回と比較した改善の程度)  
CGI-S(初回のイップスの症状の程度) 6/7

 
目安検査
●一般的検査(現代医療の検査法)

    • 可動域制限:右肩外転175度 右股関節最大屈曲
    • 圧痛:両上部僧帽筋
    • 動作痛:腰部後屈(腰部)、右股関節最大屈曲(鼠蹊部)、スクワット動作(両膝蓋骨周囲)

 
●PCRT目安検査
 

  陽性 陰性
基本バランス:左右下肢軸(押し返す) 左右骨盤 右肩 左右頚部回旋  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ  
症状イメージ(情報系):他のサーブ  

 
●EB検査
 
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 陽性 陰性
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ 右尺骨遠位端骨系  

 
ハード面調整法:
● AMベイシック 意念調整法(頚部軟骨系 右肩甲骨骨系)
 
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
 
補足説明:
「反応言語」とは、PCRT認知調整法の検査で用いる辺縁系領域に関連する言語チャートからPRT(生体反応検査法)によって陽性反応が示された言語である。臨床では「キーワード」と呼ぶことが多い。
 
情報系EB 身体系EB 反応言語 内容 調整後
バック斜め下サーブ
右尺骨遠位端骨系
警戒心 今まで得意だったサーブが入らなくなった 陰性化
同上 警戒心 戦い方のスタイルを変えないと(サーブが入らなくなったため) 陰性化
同上 警戒心 卓球のことで他の人にアドバイスを受けること 陰性化

 
●目安検査の再評価結果:
 
  陽性 陰性
基本バランス:全て  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブイメージ 右尺骨遠位端骨系  

 

2回目:R4、6月3日
 
患者コメント(愁訴):

  • 前回よりは少し入るようになった(前回施術前がほとんど入らなかった)
  • イップスのサーブをかなり意識してしまう
  • 右股関節(鼠蹊部)が荷重の際に痛む

 
イップス 症状の数値化:
 

症状の程度 7/10
予期不安 9/10
CGI-I(初回と比較した改善の程度) 3/7
CGI-S(初回のイップスの症状の程度) 6/7

 
●PCRT目安検査
 
  陽性 陰性
基本バランス:左右骨盤 右肩  
右股関節屈曲 MMT 弱化  
右股関節屈曲 屈曲内転内旋 MMT 弱化  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ  

 
●EB検査
 
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 陽性 陰性
右股関節最大屈曲 MMT弱化 軟骨系  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ 右尺骨遠位端骨系  

 
ハード面調整法:
● AMベイシック 意念調整法(仙骨骨系 右股関節軟骨系)
 
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
 
情報系EB 身体系EB 反応言語 内容 調整後
バック斜め下サーブイメージ
右尺骨遠位端骨系
執着心 卓球の全国大会で結果を出したい 陰性化
同上 同上 そのこだわりが出てくる理由は?
子供たちと自分とのギャップ
(長女はオリンピック選手 長男は実業団選手)
陰性化
同上 同上 お父さんのプレースタイルが羨ましい
自分には出来ないプレースタイルであこがれもある
陰性化
同上 同上 周りからの評価 陰性化

※2回目の施術で感じたポイント
執着心というキーワードで、斜め下サーブへのこだわり、卓球で結果を出したい気持ちが出てくる理由、自分には出来ないプレースタイルへの憧れなど卓球に対する想いが本人の中でも整理されたように感じた
 
●目安検査の再評価結果:
 
  陽性 陰性
基本バランス:全て  
右股関節最大屈曲 MMT強化 軟骨系  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブイメージ 右尺骨遠位端骨系  

 

 
3回目:R4、6月22日
4回目:R4、6月24日
 
患者コメント(愁訴):

  • 2回目施術後、サーブの調子良いとのこと NRS10→4(患者の主観)
  • 3,4回目施術は患者の希望によりハード面調整で施術
  • 右股関節、両膝痛の改善をハード面調整で施術

 

5回目:R4、7月15日
 
患者コメント(愁訴):

  • 7月6日、9日と練習したがあまり気にせずに打てるようになった
  • NRS10→4(患者の主観)
  • 大切な場面でサーブイップスが出る 手首が固い、動きが悪いことが気になる
  • 7月14日は8試合出来たとのこと

 
イップス 症状の数値化:
 

症状の程度 4/10
予期不安 6/10
CGI-I(初回と比較した改善の程度) 2/7
CGI-S(初回のイップスの症状の程度) 6/7

 
●PCRT目安検査
 
  陽性 陰性
基本バランス:左右骨盤  
右手関節回内  
右手関節底屈  
右手関節回内 MMT  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ  

 
●EB検査
 
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 陽性 陰性
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ 尺骨遠位端骨系  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブの打つ角度で 手関節回内回外  

 
ハード面調整法:
● AMベイシック 意念調整法(仙骨骨系)
 
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
 
情報系EB 身体系EB 反応言語 内容 調整後
バック斜め下サーブイメージ
右尺骨遠位端骨系
虚栄心 自分開示
※開示しないで調整
陰性化
同上 執着心 卓球に対して
陰性化
同上 同上 卓球が無くなってしまったら、何もなくなってしまう 陰性化
同上 同上 今までの卓球関係での繋がりを大切にしたい 陰性化

 
●目安検査の再評価結果:
 
  陽性 陰性
基本バランス:  
右手関節回内  
右手関節底屈  
右手関節回内 MMT 強化    
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ 尺骨遠位端骨系  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブの打つ角度で手関節回内回外  

 

6回目:R4、7月22日
 
患者コメント(愁訴):

  • サーブ調子良いとのこと NRS10→2(患者の主観)練習では気にせず打てる
  • 試合の大切な場面でいつも通り打てるか心配
  • 右肩を引く動作(水平伸展)の固さが気になる

 
イップス 症状の数値化:
 

症状の程度 2/10
予期不安 3/10
CGI-I(初回と比較した改善の程度) 2/7
CGI-S(初回のイップスの症状の程度) 6/7

 
●PCRT目安検査
 
  陽性 陰性
基本バランス:左右骨盤 右肩 頸部右回旋  
右肩175度から外転 MMT 弱化  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ  

 
●EB検査
 
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 陽性 陰性
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ 尺骨遠位端骨系  

 
ハード面調整法:
● AMベイシック 意念調整法(右肩甲骨 頸部軟骨系)
 
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
 
情報系EB 身体系EB 反応言語 内容 調整後
バック斜め下サーブイメージ
右尺骨遠位端骨系
自尊心 妻として夫に対して
陰性化
同上 同上 家政婦のように扱われる感じがする時がある
陰性化

 
●目安検査の再評価結果:
 
  陽性 陰性
基本バランス:左右骨盤 右肩 頸部右回旋  
右肩175度から外転  
症状イメージ(情報系):バック斜め下サーブ 尺骨遠位端骨系  

※6回目の施術で感じたポイント
PCRT認知調整法で卓球のイップス サーブとは直接関係のないキーワード(自尊心)と内容が出たが、疑いもなく素直に認知して頂いた様子を受けた。
以前でしたら認知調整法が抵抗のあるケースが多かったが、ラポールが高まっている、PCRT認知調整法の理解が深まっていることを感じる。
 

7回目:R4、8月2日
 
患者コメント(愁訴):

  • 意識しないで打てるようになった(練習中)
  • 気持ち的にもサーブを打つ時が楽になった
  • 7/24 11試合出来たがここぞという時の大切な場面のサーブでイップスが出る(いつもネットに引っ掛けて落ちる)ここぞという時のサーブの成功率50%
  • 左膝荷重時痛(膝蓋骨内側〜下方)

 
イップス 症状の数値化:
 

症状の程度 2/10
予期不安 3/10
CGI-I(初回と比較した改善の程度) 2/7
CGI-S(初回のイップスの症状の程度) 6/7

 
●PCRT目安検査
 
  陽性 陰性
基本バランス:両下肢軸圧迫 右肩 頸部左回旋  
症状イメージ(情報系):ここぞという時の場面のバック斜め下サーブ  
症状イメージ(情報系):それ以外の場面でのバック斜め下サーブ  
症状イメージ(情報系):ここぞという時の場面のバック斜め下サーブ 第3,4中手骨骨系  

 
●EB検査
 
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 陽性 陰性
症状イメージ(情報系):ここぞという時の場面のバック斜め下サーブ 第3,4中手骨骨系  

 
ハード面調整法:
● AMベイシック 脊柱アドバンス 下肢アドバンス
 
ソフト面調整法:PCRT認知調整法
 
情報系EB 身体系EB 反応言語 内容 調整後
ここぞという時の場面のバック斜め下サーブ 第3,4中手骨骨系 羞恥心 以前に子供たちが応援しに来てくれた大会で簡単なプレーを失敗してしまったことがあった
陰性化
同上 同上 簡単なプレーを失敗してしまったこと
陰性化
同上 同上 周りからの目が気になる
そんな簡単なボールも打てないの・・(心の声)
陰性化
同上 同上 子供たちは優秀なのに自分のカッコ悪い姿をみられたくない 陰性化

 
●目安検査の再評価結果:
 
  陽性 陰性
基本バランス:全て  
症状イメージ(情報系):ここぞという時の場面のバック斜め下サーブ 第3,4中手骨骨系  

※7回目の施術で感じたポイント
羞恥心というキーワードで
今まで自分の心の中に留めていたことを初めて他人に(先生)に口にしたと話された。
子供たちが有名な選手のため、その母親という見られ方をされることが嬉しい反面、苦しくなることもあると。簡単なプレーも失敗出来ないし、良いプレーをするべき、結果を出すべき、カッコ悪い姿を見せたくないなど。卓球を楽しむことから、オリンピック選手の母親という周りからの評価を気にするようになっていたと・・・。
 
7回目施術後の目安検査の再評価でイップスサーブイメージでのPRT検査がガシッと安定したことを感じた。さらに改善することが期待できる。
 

8回目:R4、8月8日
 
患者コメント(愁訴):

  • 前回施術後、大会で4試合(全勝)
  • 格下相手の試合であったがイップス症状出なかった
  • 右肩甲骨内側の張り感、右手首の動きを改善したい
  • 教職員全国大会へ明日出発

 
イップス 症状の数値化:
 

症状の程度 1/10
予期不安 2/10
CGI-I(初回と比較した改善の程度) 2/7
CGI-S(初回のイップスの症状の程度) 6/7

 
●PCRT目安検査
 
  陽性 陰性
基本バランス:右肩甲骨 頸部左回旋 右回旋  
右手首 屈曲回外位  
症状イメージ(情報系):ここぞという時の場面のバック斜め下サーブ    

 
●EB検査
 
身体系&情報系EB検査部位と刺激・動作 陽性 陰性
右手首 尺骨遠位端骨系 尺骨タッピング  
右手首 内側手根骨骨系 手根骨タッピング  

 
ハード面調整法のみ:
● AMベイシック 頸部アドバンス 意念調整法(尺骨骨系 内側手根骨 尺側靭帯系)
 
●目安検査の再評価結果:
 
  陽性 陰性
基本バランス:全て  
右手首 屈曲回外位  
右手首 尺骨遠位端骨系 尺骨タッピング  
右手首 内側手根骨骨系 手根骨タッピング  

※8回目の施術で感じたポイント
目安検査でのイップスサーブイメージで陰性反応であった
格下相手の大会でもイップス症状が出ることなく4試合勝つことができた
相手が強敵になった時のここぞという時にそのサーブが思ったように打てるかの予期不安が若干あるようだ 予期不安 2
ここまでくると、実践をこなし自信をつけていける段階
 

9回目:R4、9月
 
患者コメント(愁訴):

  • 前回から練習・試合ともにサーブイップス改善したためイップス治療終了

 

 
考察
以前から身体のメンテナンスをさせて頂いておりハード面調整の信頼はありましたが、PCRT認知調整法が苦手な方でした。
施術前に土子先生が作成されたイップス動画(YouTube)を見ていただいたり、PCRT認知調整法の丁寧な説明を心掛けラポールが高まったことが良い方向へと向かった。
3回、4回は本人の希望でハード面調整のみ施術したが回数を重ねるごとに認知調整法の理解が深まり、イメージしたことが反応し、調整しその反応がとれる。そしてサーブも安定すると結果がついてくることで喜んで頂くとともに、「PCRT認知調整法はスゴイ」とおっしゃっていただくまでになった。
完治までもう少しだあが、臨床経験上このラインで施術していくと改善することを確信している。油断せず、選手の立場に寄り添い完治へむかっていきたい。
 
7回目の施術後の試合ではイップス症状が出なく4試合勝利。
 
今回のポイント
1. PCRT認知調整法の理解の深さ、ラポールの大切さ
2. 卓球に対する執着心とそれが強化され固まった経緯
3. 【 羞恥心】のキーワードから、純粋に卓球を楽しめなくなっていた自分に気が付く
4. 自分には出来ない卓球のプレースタイルへの憧れ