右膝下の痛み

 
報告者:國井 継之介(ファインカイロプラクティック

 

【患者】 小6 男子
【主訴と病歴】 主訴:右膝下の痛み (整形外科による診断名:オスグット)
半年前から運動時(バスケット)に膝に痛みが出る様になる。
整形外科を受診し、オスグットの診断を受ける。
運動を中止し、整形外科の治療を2ヶ月行うが、運動すると痛みが直ぐにでてしまう状態で、強い痛みが出ない様に、制限しながら練習を行ってきた。
現在痛みは、朝の起床時と夜の就寝時に痛みがある。痛みの強さは日によって違う。
運動時または運動後に強い痛みがある。痛みの強さは日によって違う。
体育では痛みが出ることなく、普通にできる。
10日後に、最後の大会があるので、どうしてもそこに出たい。

 【検査と治療】 《初診》
膝下の圧痛を確認。
膝関節の可動域は80-90°(腹臥位)
スクワットは、痛みのため90°まで出来ない。
膝関節の屈曲と伸展に関わる筋肉に、筋抵抗検査での異常はなし。
股関節の屈曲筋・外転勤・内転筋に、筋抵抗検査での筋力低下がみられた。

今の状態で、大会にでれたらどれくらい楽しそうですか?という質問に対して、
「あまり楽しくない」という返答がみられた。
どんな事が出来たら楽しくなりそうですか?という質問に
「自分が活躍できたら楽しそう」という返答がみられた。
自分が活躍している時は、どんな事が出来てるかな?という質問に対して
「相手との競り合いに負けない」「体が勝手に動いている」という返答がみられた。
じゃあ、そう言う状態になる様に、施術をしていこうと、ゴールを設定した。

【ハード面の施術】 アクティベータ・メソッド
・スクワットでの痛みが減少 (最終可動域での痛み)
・筋力低下が見られた筋肉の機能異常が改善
・圧痛は残存
同じ質問を行い、メンタル面の変化とゴール設定に近づいているかを確認した。
今の状態で、10日後の大会に出れたとすると、どれくらい楽しそう?
『普通に楽しそう』
活躍できてそう?
『普通に活躍してる』

【ソフト面の施術】 心身条件反射療法
問診から得られた症状が悪化する場面から分析を行った。
日頃の練習のイメージ → → → 陽性
朝のイメージ → → → 陽性
夜のイメージ → → → 陽性
陽性反応が見られた場面イメージでPCRT振動を行い、脳の緊張パターンの切り替えを行った。

日頃の練習のイメージ → → → 陽性

五感(聴覚)
・コーチの声 → 練習中 休憩中 練習後の雑談
・チームメイトの声
・母親の声 → 練習中 帰りの車の中
日頃の練習のイメージで五感情報と絡んだ緊張パターンを、PCRT振動にて切り替え。
日頃の練習のイメージ → → → 陽性
再度、日頃の練習イメージで検査するが、陽性反応が切り替わらない事で、動作と関連した聴覚刺激を検査分析した。
五感(聴覚)
・走り出す時 ー コーチの声
・止まる時 ー 陰性
・ジャンプする時 ー 自分の声(足が痛い)
・着地する時 ー 自分の声 (足が痛い)
反応が得られた上記の情報に対して、PCRT振動にて切り替えを行った。

日頃の練習のイメージ → → → 陰性

再検査を行い、状態を確認した。
スクワットで屈伸ができる。
(最後少しだけ違和感がのこる)
・機能異常を起こしていた筋肉は改善されている。
・圧痛はまだある。
・異常な緊張が解放され、体がかなり軽くなっている。という感想があった。

再度、同じ質問を行い、メンタル面の変化とゴール設定に近づいているかを確認した。

今の状態で、10日後の大会に出れたとすると、
どれくらい楽しそう?
『すごい楽しくできそう』
活躍できてそう?
『早く試合したい』

との事で、初回の施術を終了した。

《2回目》1週間後の来院。 (大会3日前)
朝晩の痛みが出ているが、運動後に痛みが強くなって動けなくなる事は無くなった。

治療
ハード面ーアクティベータ・メソッド
ソフト面
└ 日頃の練習のイメージ 陰性
└ 3日後の大会のイメージ 陽性
→ 感情 連帯感
前回反応のあった場面でのイメージは陰性になっていた。
3日後の大会での緊張パターンが見られたので、言語神経反射にて感情との関係性を特定し、この緊張パターンをPCRT振動を行った。

《3回目》前回から1週間後。
無事に大会に出場し、惜しくも決勝で負けたそうだが、痛みで動けなくなる事もなく、楽しめたとの事。

その後、完全治癒の為に再来し、トータル13回のケアで治療を終える。


【感想】 スポーツ障害の為に意識が痛みに向いていて、スポーツに対してモチベーションが低下していました。
10日後の大会に出たいという目標があった事で、そこまでの治癒はとても早く改善しました。
しかし、その後は回復が緩やかになり、改善のスピードは低下した印象です。
脳がどうなりたいのか?具体的なイメージがある事で改善のスピードが速いと思います。
本症例で、どうなっていたいか?がとても重要な事が改めてわかりました。